腕と首筋に鋭い痛みと焼け付くような熱さを感じた。
「おいっ、大丈夫か?!」
「あっ………はい、大丈夫です」
油が跳ねた音と私の声を聞いたリュウさんが駆け寄って来た。
心配そうに顔を覗き込んで、すぐさま腕を鷲掴みされ、厨房内の水道で腕を冷やす。
すると、冷凍庫からお客様用の保冷剤を取り出し、布巾に包んで私の首元にそっと当てた。
そして……。
「店長っ!ランちゃん、火傷した!!」
「すぐに処置してやれっ!!」
「ここをお願いしますっ」
隣室の仕上げ室に向けて声を張るリュウさん。
隣室からは、食パンをスライサーでカットしている店長の声が漏れて来た。
「あのっ、リュウさん。これくらい、大丈夫ですから」
必死に平静を装って笑顔を見せると、
「女の子なんだから、大丈夫なワケねぇだろ」
溜息まじりに頭をポンポンと叩かれた。
パン屋で製造をしていれば、嫌でも火傷する。
職業病と言っても過言じゃない。
当然、面接に来た時にそれはちゃんと聞いていたから、覚悟は出来てる。
だって仕事をするって、大変な事の方が多いもの。



