お店に着くと、事務所に顔を出して自宅用階段通路を上がる。
夕方の混雑する時間帯の前に、久峨家の夕食を作るのが日課になりつつある。
洗面所をお借りしてメイクを落とし、髪を纏め上げて。
その足でキッチンへ行くと、奥さん(周さんのお母さん)からのメモが必ずある。
他愛ない事が書かれている事が多いけど、それでもやっぱり嬉しかったりする。
嫁と姑みたいじゃない?
店長(周さんのお父さん)と奥さんは勘違いしていて、私が周さんの彼女だと思い込んでる。
しかも、それを周さんも知ってるのに、否定もしないの。
呆れた顔はするけど、『彼女じゃない』とは1度も口にしてない。
まぁ、付き合おうみたいな事も言われてないけどね。
冷蔵庫の中を確認して、たくさんの野菜と豚肉を取り出した。
今日は、豚の生姜焼きと具だくさん野菜スープにしようっと。
鼻唄交じりに手際よく料理を仕上げて行く。
ちょうど出来上がる頃、タッタッタッタッと階段を駆け上がって来る足音が聞こえた。
「翔くん、おかえり~」
「ランちゃん、ただいま♪」
爽やか笑顔の翔くんが帰宅した。



