ホームで電車が来るのを待っていると、顔見知りの女が少し離れた所にいた。
俺と蘭の様子を窺いながら、見るからに陰口を叩いている感じで。
そんな彼女らに気付いた蘭は、スッと俺から1歩離れた。
「一緒にいると、変な噂が立ちますよ?」
「別に気にしねぇよ」
「さっき一緒にいた女の子……彼女さんでしょ?置いて来ちゃって良かったんですか?」
真っ直ぐ前を見据え、気遣いながら小声で話す蘭。
俺の事を気遣い、他人のふりをしている。
だから俺は、蘭が開けた間を埋めるように1歩横に移動して。
「彼女じゃねぇよ」
「えっ、そうなんですか?……凄く親しそうでしたが」
「………何?嫉妬してんのか?」
「ッ!………嫉妬なんてしてませんよっ」
「フッ、お前、分りやすいな」
「っ……」
真っ直ぐ見据える彼女の顔が、明らかに赤くなった。
「なぁ、志垣さんとよく買い物に行くのか?」
俺は2人の関係を知ってるから何とも思わないが、傍から見たら不思議に思われてもおかしくない。
しかも、そんな関係が噂のネタになってる事が不快だった。



