嵐の右手を握り締めたまま
椅子に座り
話しかけ続けた


嵐は起きる事もなく
私は涙を流し続けた


どれだけそうしていたんだろう


気づくとウトウトしかけた…



トントン


誰かがドアを叩く音で
ハッとした


「はい」


ガラガラッ


扉が開いて立っていたのは明君


「…嵐はまだ…」


「…ずっと眠り続けてる」


「そっか」


明君は私とは逆側の嵐の左側に立った


「嵐?
愛梨ちゃんが心配してるぞ
…早く…起きて…こいよ」


明君の声が震えてる


「後藤が捕まったって…」


「捕まったの?!」


「あぁ
手下の所で隠れてたのを捕まったって」


「…そう」


嵐をこんな目に遭わせた後藤って人が許せない

でも…そんな事よりも

今はただ嵐に目覚めて欲しい


このままいなくなったりしないよね?


「嵐、早く愛梨ちゃんを安心させてやれよ」


嵐は静かなままで明君は
悲しそうな顔をした後、顔を歪めた


明君は面会時間まで居たけど
その後、帰ったから
私はそのまま嵐の隣で居る事にした


完全看護だから付き添う必要はない


だけど…目覚めた時に嵐1人にしたくない


何より…傍にいないと
どこかにいっちゃいそうで怖い

不安に押しつぶされそうだよ

ねぇ嵐?
強く抱きしめてよ…



ううん
目を開けて微笑んでくれるだけでいい