「もしかして特別室ですか?」


「特別室ではないんですが
個室の中ではグレードが高い方です
こちらは家族の方も
気兼ねなく付き添えも出来ますよ」


看護師さんが説明してくれた後
凌さんのお父さんが部屋に来た


「移動は終わったかね?」


「はい、異常もありません」


看護師さんと話をしてた


「…ここって高いんですよね?」

蒼兄が聞いた


「普通の個室よりかはね
でも、そんな事気にしなくて良いし
城田さんのご両親の意向でもあるんだよ」


人目につかないようにって事だろうね…

そう呟いた


こういう時まで世間体なんだ


「何かあったらすぐ呼ぶように」

そう言って部屋から出て行った

部屋にはソファベッドにテーブル
少し大きめのテレビ
シャワー室とトイレ
小さめの冷蔵庫と電気ポット
電子レンジが置いてあった


「病室移動したみたいだし
俺もちょっと用事があるから…」

そう言って蒼兄が部屋から出て行った


看護師さんが嵐の状態を記録して
部屋から出て行ったから
嵐の傍にある椅子に座り、嵐の右手を握り締めた

左の手の甲には点滴が入ってる


「嵐…みんなが心配してるよ
1人じゃないよ
だから…目を開けて」


聞こえてくるのは規則正しい呼吸音だけ


切なくて苦しくて…胸が張り裂けそうになって
涙が溢れた

昨日から泣いてばかり


でも涙は枯れる事を知らないように
ただ溢れ流れ続けた