隣の席の君

お昼前になりパパとママが病院に来た


「嵐君は？」


首を左右に振ると悲しそうな顔をした


「明は？」


「明君は事情を聞かれて一先ず家に帰したよ
親御さんも呼ばれて被害届を出した
嵐君のはお父さんが出してきたから…」


「嵐君のご両親は来た？」


「…あれから来てない」


「…そう」

ママが肩を落としながら呟いた


「午前中事務所に来て委任状は書いて貰ったよ
病院に見舞いに行くようには言ったんだが…」


「色々な事情がある家庭も少なくはないけど
…切ないわね」


ママが嵐を見つめながら悲しそうにした



「あっ…言い忘れてた
午後から嵐は個室に移るって」



「そうか、良かったな
早く意識が戻ればいう事なしなんだがな…」


お昼はパパとママに連れられて喫茶ルームに来た


「心配で何も食べれないのはわかる
でも、嵐君はそんな愛梨を見ると
自分を責めるんじゃないかしら…」


心配そうにママに言われて
嵐はそういう人だと思った

無理矢理、胃にうどんを流し込んだ


パパがこれからの話を色々してくれた

後藤っていう人は逮捕状が出てるから
今日にでも捕まるんじゃないかという事

パパとママが仕事に戻ったから
ICUの前に戻ると嵐の部屋移動の準備がされてた


「あっ…川瀬さん
今から城田さんは個室に移りますからね」


そう言われて移った個室は
普通の個室よりグレードが高そうだった