隣の席の君

少しした後
いかつい顔をしたおじさんが2人やって来た


「あれ…川瀬じゃないか」


「お久しぶりですね~」

蒼兄の知り合いかな


「城田は川瀬の知り合いか?」

「妹の男っす」

「そうか…大変だったな
永岡明は君だったよな?」


廊下に言いようのない緊張感が走る


「――の警察だが君に聞きたい事がある」


「…わかりました」


「明はどうなりますか?」


「今回は被害者だから話を聞かせて貰うだけだ
後藤もまだ捕まってないしな」


良かった…
明君が逮捕されるのかと思った


「城田の意識が戻り次第
城田からも話が聞きたい」


「わかりました」


蒼兄が返事した後
明君は警察署に連れて行かれた


蒼兄がパパに連絡してくれて
パパもママと警察に向かってくれた

ママはパパの秘書だから
いつも一緒に動いてる


蒼兄とまたベンチに座り込んだ


「…何か食いに行くか?」


首を左右に振った


「愛梨…嵐が目覚める前に倒れるぞ?」


でも離れたくないんだもん

涙が溢れた


蒼兄は黙ってベンチを離れ
売店でパンを買って来てくれた


「愛梨が好きなチョコクロワッサン」


「…ありがとう」


微笑んでチョコクロワッサンを一口食べた

蒼兄に心配かけたくなくて…


でも、一口二口食べただけで食べられなくなった


胃が受け付けない


膝に手を降ろしパンを見つめた


「…食べれないのか?」

頷いた


「まぁ仕方ないわな」


蒼兄は私の手からチョコクロワッサンを取ると
残りを食べてしまった