隣の席の君

翌朝

早くに蒼兄がやって来た


「愛梨寝てないだろ？
酷い顔だぜ…」


蒼兄が悲しそうに私の顔を覗いた


「無理もねーか…
嵐が目覚めた時悲しむぞ」



「そうだね…
ひとまず顔でも洗ってくるよ」


トイレに行き、自分の顔を見て驚いた


血の気が失せて
目の下には薄っすらとクマが出来てる


私は冷たい水で顔を洗って
ハンドタオルで一先ず拭いた


「愛梨は一度帰って寝て来い？
明も…」


「帰ってもどうせ眠れないよ…」


「はぁ
じゃあ一先ず一度嵐のマンションに戻って
荷物を取って来るか
すぐには退院出来ないだろうし…」


私は蒼兄の意見に従って
2人でタクシーに乗り込み
マンションの戻って
入院の準備をしてから病院に戻った


もしかしたら…嵐の意識が戻ってるかもしれない

そんな淡い期待を抱いて
ベンチに座る明君の元を急いだ


でも、やっぱり嵐の瞼は硬く閉じられたまま


蒼兄が自販機で買って来てくれた飲み物を3人で飲んだ


「明も一度帰れ」


「嫌です」


「おまえな～…明だってこれから大変なんだぞ？」


「わかってるんすけど…」


はぁ～って大きく蒼兄はため息をついた


8時を過ぎた頃に凌さんのお父さんがやってきた

3人で立ち上がってお辞儀した


「昨日は全然休めれなかったようだね
まぁ無理もないけど…
嵐君の事なんだがね」


嵐に何か悪い事でもあったんだろうか


途端に不安になった


「愛梨ちゃんそんなに心配しなくても大丈夫だよ
嵐君は意識が戻らない以外は
問題がないから、お昼から個室に移る事になった
そこならすぐ傍でいられるからね」


凌さんのお父さんの心遣いに涙が溢れた

蒼兄が肩をそっと抱いてくれる


「「「ありがとうございます」」」


凌さんのお父さんは微笑んだ後
ICUに入って行った