「ご挨拶が遅れました
愛梨の父です」


パパは笑顔を向けていたけど
オーラーが怒りでいっぱいなのがわかった

殺気がすごい出てる

こんなパパ初めて見た



ママを見ると蒼兄を宥めてた

蒼兄は今にも殴りかかりそうな勢いだ





パパは挨拶をしながら胸元から
名刺入れを出し1枚取り出して
それを嵐のお父さんに渡した




「…川瀬…弁護士ってあの…」

2人は目を丸くしていた


「一度きちんと挨拶に伺わなければと思っていました
うちの娘が嵐君によくして頂いて
当方としては感謝しています」


「先程は失礼しました
あいつの事で挨拶なんて
お手を煩わせるまでもありません」


「私達は子供が選んだ人に
間違いはないと思ってます
嵐君は本当に良い子だと思いますよ
容態とか心配じゃないんですか?」

ママが答えてくれる



「あの子には何も期待していませんし
親子だと思っていませんので…」


嵐のお母さんの返事に凍りついた


こんな時でも嵐を否定するんだ


「警察沙汰な事をとうとう起こして…
こちらとしても困るんですよ」


「…嵐に優しい言葉をかけてください
嵐は今1人で頑張ってるんです」


一生懸命頼んだけど
返って来た返事は冷たかった




「会社の事もあるし
弟は大事な時期なのよ」


「…嵐の看病は私がします
一言で良いんです」


嵐のご両親はため息をついて返事をしてくれなかった



「わかりました
嵐君の事はこちらで面倒を看ます
相手への賠償などもこちらでしておきますが
全てを委任するという事で宜しいですか?」


「そうして頂けると助かります」


パパの申し出を迷う事なく
嵐のお父さんは受けた


親というより本当に他人みたいだ


「それでは明日にでも事務所に来ていただいて
委任状にサインをして頂きたいと思います」


「わかりました」


嵐のお父さんが返事をした瞬間
凌さんのお父さんである医師がやってきた