少しの間、抱きしめられた後
嵐にまたバイクに乗せられた


今度はどこに行くんだろう…

でも、今日は1日
嵐に付き合いたいって思った

離れちゃダメだって…



嵐が次に連れて来てくれたのは墓地だった


手を握られ、無言で進む嵐の後を
私も静かについて歩いた


「ここ」


お兄さんの眠るお墓だ…


お墓には新しい綺麗な菊などの花が活けられていて
家族がもう供養を済ませた事が物語られていた


「兄貴が死んで初めて来た」


2人で手を合わせた


嵐は何を思っているんだろう


聞きたいけど…ここじゃ聞いちゃダメだと思った




親が望む子になれなかっただけで

ここまで親が阻害するもんなのかな



嵐は人一倍愛情に飢えてる


きっと語らないだけで
すごく辛い思いを抱えてきたんだろうな


最近、嵐が夜中に魘されたり
起き上がったりしてるのを知ってたから
今日のこの日を…抱えていたんだと思った


何度も聞こうかと思ったけど
起き上がった後
私の頭を何度も撫でている嵐の気配を感じると
何も言えなかったんだ


お兄さん…嵐にも幸せな時間を過ごさせてください

私は心の中でそうお願いした