嵐が荷物を持ってくれたまま
マンションに着いた


リビングに一度荷物を下ろすと
嵐は部屋から出て行ってしまったから
私はソファに座った


戻ってきた嵐は何故かヘルメットを持ってきた


「これ愛梨専用な」


赤い可愛らしいヘルメット
ゴーグルがついてる


「いいの?」


「おう、それとこれ」


渡されたのは合鍵


「嬉しい」


「失くすなよ?」


「うん」


早速、キーケースに付けた


嵐もソファに座った


「今日、かなり緊張した」


あれで?

驚いて顔を見上げた


「俺だって普通の男だし…でも
お父さんもお母さんも気さくな人で良かった
反対されると思ってたから…」


「パパもママも自分で行動しなさいって人だからね
だから、蒼兄があんなに自由人なんだよ」


「確かに蒼登さんは自由人だな
でも、本当良かった」


嵐が嬉しそうだったからニッコリ笑った

微笑んだ後
嵐は俯いて、重苦しそうに口を開いた

「…兄貴が死んだのが夏休み中だったんだ
毎年夏は1人で居たくなくなる」


だから、普段の嵐からは想像出来ない行動に出たんだね

私はソッと嵐の手を握った


私がいるよ…そういう気持ちを込めて

「ずーっと嵐といるよ
私の隣は嵐しかいられないよ」


本当にそう思う

いつの間にか誰よりも愛おしくて
大好きじゃ足りないぐらい大好き


これが愛なんだ…

私は誰よりも嵐を愛してる