隣の席の君

窓の外の空を見上げて
ため息を一つついた

何かを決意するように…

「俺は愛されるとか愛するとか
永遠なんてものは信じてなかった
親からも愛された記憶がないから…」

えっ?

親からも…?


「…どういう意味?」


「俺は3人兄弟の真ん中でさ
親は出来のいい息子が自慢で固執してた
どれだけ成績がいいか…
でも、俺だけ親の言う
出来のいい息子にはなれなかった
親は全ての愛情を兄貴に注いで
俺に見込みがないとわかった途端弟に向かった
親の愛情は兄貴と弟だけのものだった」


寂しそうに空を見つめたまま



「それでも親の愛情を受けたくて
頑張った時期もあったんだ
でも…兄貴が事故で死んだ時
兄貴の代わりに俺が死ねば良かった
そう言われて何も信じられなくなった
俺は要らない子だって言われた」


私は黙ったまま嵐君を抱きしめた

だから、いつも嵐君には心の壁があったんだね


「俺は愛されてない必要とされてない
そう思って喧嘩に明け暮れて荒れた
周りが離れて親からはますます見離されて
ついてきたのは明だけだったよ」


「…私もいるよ
何があっても傍にいる」


「愛梨は…俺が欲しい言葉をくれる
でも…いつかは離れていくんじゃないかって…」


「離れない
嵐君が私を要らないって言っても離れない」


嵐君が私を抱きしめた


「誰も愛せないって思ってたのに…
愛梨を離せない…俺だけでいて欲しいって思うんだ
永遠なんてあるはずがない
そう思ってたのに永遠を望む俺がいる」


「何があっても傍にいるから…
思ってる事我慢せずに教えて…」


「愛梨が嫌だって言っても…離せないし
俺だけを見ていて欲しい」


「離れないし…嵐だけ見てる
嵐だけしか見れない
まだ信じられないかもしれないけど
私にはこれからも嵐だけだから…」


嵐君は私を力強く抱きしめた後
優しいキスをしてくれた


触れるだけの…優しいキスだけど
気持ちが溢れてくるキス