「付き合ってる事言っても良かった訳?」


「何で?」


「愛梨まで誤解されるんじゃねーのか?」


「誤解されても気にならないし
付き合ってる事隠さなきゃいけないのかな?」


「………」


「ちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ?
嵐君は嫌だったの?」


「…違う」


そのまま、嵐君は黙ってしまった


「嵐君は気にしすぎだよ…
私は何を言われても気にしない
昨日も言ったけど…
嵐君の傍にいられれば良いんだ」


「……」


「嵐君は気遣いすぎだと思う
色々考えてくれてるのもわかるよ
でも、そんなに我慢しなくて良いんだよ?」


私の事を大事にして気遣ってくれてるのは嬉しい

けど、嵐君は色々な事を考えすぎて
自分の中で押し殺しているように感じたんだ


黙っていた明君が嵐君の肩をポンッと叩いた

「愛梨ちゃんなら大丈夫じゃね?
俺、教室に帰るわ」


明君が鍵を嵐君に渡して教室を出て行くけど
私は嵐君から目が離せなかった


感情を表さない表情から何かを掴み取ろうと
必死だったのかもしれない


嵐君は机に座った

だから、私は嵐君の膝に両手を置いて
嵐君の瞳だけを見つめた


どんな嵐君も受け止めたい


嵐君は重たい口をようやく開いた


「…愛されるとかよくわかんねー」


はっ?

愛??


「愛するって事もよくわかんねー」


鈍器で頭を殴られたかと思うぐらい衝撃が走った

何で…私と付き合ってるんだろう

でも…確かに好きって言われた訳じゃない

何度も告る私が哀れに思えたのかな


唇を噛み締めて涙を堪えながら俯いた

うかれてたのは私1人だったんだ…