ベッドに入ってから嵐が少しずつ話し始めた


「愛梨の家は居心地がいいな」


「そうかな?」



「テストが1位になっただけでお祝いしてくれたり

苦手科目にもすぐ気づいて

どれだけ努力したか察してくれる」




嵐は試験の度に両親にどんな風に言われてきたんだろう

お互いを抱きしめあった



「俺は蒼登さんもお父さんも尊敬する」



「2人が聞くと喜ぶよ

お父さんはもう嵐の事を

息子みたいに思ってるんじゃないかな」




「だとしたら最高に嬉しいな」


嵐はいつものように私の髪に

指を絡ませながら梳いて眠りについた




嵐から規則正しい呼吸音が聞こえてから

そっとベッドから抜け出し

リビングに行った





「あら、もう寝たのかと思ったわ」




ママがワインを開けながら微笑んだ


パパはグラスを出したところだった




「2人で何のお祝い?」




「子供達が頑張ったお祝いだよ」


パパが嬉しそうに笑ってる



2人がダイニングテーブルに並んで腰掛けたから

2人の前の椅子に座った





「どうした?」


ずっと聞きたかった事

今、聞いてみよう


「パパとママは嵐の事どう思ってるの?」




2人は顔を見合わせた後、ワインを一口飲んだ



「愛梨がいつか聞いてくるとは思ってた

だから、パパも真剣に話すからね」




頷いた





「最初は嵐君は影がある子だなって思った

夏休み中許可はしたけど

蒼登からちょくちょく話は聞いてた」




「別にスパイさせてた訳じゃないわよ

でも、どんな子なのかパパと話してたのよね」




「そうだよ

それで感情表現が苦手だけど

真っ直ぐな子なんだろうな

ってママと話してたらあの事件が起きた」




嵐が刺された時のだ




「これはパパとママしか知らないんだが…」




パパはママの顔を見ながら、戸惑った