待合室で待ってると、
柑菜のお母さんがきた。

「真守くんっ、柑菜は大丈夫なの?!」

さっき、電話した時に声が声が震えていて今にも泣き出しそうだった。

「いま、検査してます」

「…私、真守くんなら大丈夫だと思ったんだけど…ごめんなさいね、私の間違えだったみたい…会わせないほうがよかったのかもね…グスッ…私にとってたったひとりの家族なのよ?失ったら、どう生きたらいいのかしら?……でも、私の責任なのよね」

「すいません」

俺は、ただ謝ることしか出来なかった、

俺がちゃんとしていれば、
話していれば、話し合っていればこうはならなかったのに…早く帰ればよかった。

後悔しか頭になかった。

「…真守くん、“あの日”のこと覚えてる?」

「忘れられませんよ」

“あの日”のことは、忘れられない。

小さな頃の話であっても、覚えてる。


「…もし、柑菜が目を覚ましたら“あの日”の話を真守くんからしてくれるかしら?」

「…え、はい」

お母さんから、思いもよらない言葉が出てきて俺は驚いた。

「じゃあ、とりあえず今日はもう帰っていいわよ、私いるし」

…帰っていいと言われてはいって言うわけないやろ。