「…柑菜、ごめんな」

まばらに置いてある机の上に座っている真守さん。
私も、向かい合わせになるように机に座る。

「どうして謝るんですか?」

別れを告げられる?
文香さんがいいから?大事だから?

「いきなりいなくなったりして、すまんかった。」

「いいですよ、きっと大事な用事あったんだろうし…」

全然、よくなんてなかった。
でも大人にならないと…嫌われてしまう。

「文香のこと。解決してきた、もう家にも来ない。」

「え?」

「実は、文香のお父さんと話してきたんや」

文香さんのお父さんだったんだ、やっぱり。

「あの時の悲鳴、文香のもので…行ったらお父さんに連れていかれそうになっていた。」

あ、そうだったんだ。

「それで、中庭に移動して話した。意外と話が通じる人でなぁ…精神科の病院に入院するってことになって」

…そうだ。真守さんは、いつでもそう。
みんなに優しくて…わたしはそんなところが好きだったんだ。

「文香とも、話して…文香に謝られたわ。柑菜にも悪いことしたってごめんなさいって言うてたわ」

文香さんが?

真守さんと文香さんが二人でいることに、妬いていた私はバカみたい。

ほんと子供なだなぁ…。