「…ごめん」



「佑樹くん?」



どうして謝るの?



佑樹くんは黙ったままで、ただぎゅっと抱きしめる力を強めるだけだった。



う、嬉しいけど…っ。



「ぃ…いたいっ…」



「あっ!ごめんな?大丈夫か?」



「大丈夫…だけど」



なんでここにいるの?



どうして抱きしめるの?



聞きたいことはたくさんある。



だけど…今だけでもっ、この腕の中にいたいんだ…っ。



佑樹くんの背中に手を回し、ぎゅっと力を込める。



「咲菜?」



まだ名前で呼んでくれるんだね。



私、もう名前では呼んでくれないと思ってた。



「…あのさ、このままでいいから聞いてほしい」



こくりと頷くと、佑樹くんが深呼吸をするのがわかった。