教室に着くと、
「悠莉おはよ」
だるそうな声であたしに挨拶してきたのは大庭 奈々。
あたしの親友。
名前をつなげて読むとバナナになるけど、
呼ぶと怒られる。
奈々はこの北高校で唯一あたしの本性を知ってる人。
素が出せるから、すっごい楽。
この前クラス替えをして2年生でも同じクラスになれて、とてもラッキーだ。
「おはよ奈々。なんしよん?」
ケータイを黙々と扱ってたので適当に聞いてみた。
「んー?見てん〜」
「ん?なに、これ? 出会いサイト?」
見せてもらった画面には知らない相手とチャットで会話出来るようなアプリが映し出されていた。
「んま〜そんな感じやない?彼氏ほしいやん?悠莉も入れてみれば」
「は?あたしは間に合ってるし…」
「いや〜イケメンいっぱいおるって」
「なぬ!?」
イケメンに釣られたあたしは早速アプリを入れてみた。
男に困ってないといえども、やっぱりイケメンは好き、というのがあたしの本音。
プロフィール画面に自分の写真を載せると友だち申請みたいなのがたくさんきた。
だる。
消してしまおうかと思った瞬間、思わず声が漏れた。
「うわ、かっこいい…」
「え?なになに。悠莉が褒めるって珍しいやん。わ、本当イケメンや」
覗き込んで、うなずく奈々。
今まで何回か出会いアプリに登録したことがあったから分かるけど、この写真は詐欺じゃない。
間違いなく本物だ。
