「おい!来たぞ、悠莉様!」
「うぉー、今日も美人極まりない♡」
「なんて美しいんだ!!」
男どもに騒がれながら登校してきた、
あたしの名前は悠莉。
あたしからしたら、馬鹿にしか見えない。
本当に男って馬鹿よね、
外見しか見てないもの。
あとは、ヤれたら何でもいいんでしょ。
最低のくずよね、ホント。
とか言いつつも、騒いでる男どもに笑顔を向けて手を振り返す。
適当に愛想を振りまいておけば、あとは勝手に付いて来る。
別にモテるのって悪い気はしないから。
というより、あたしはモテてる自分が好きだから。
中3の冬、あたしは彼氏に振られた。
人生で初めてだった、
狙った男は絶対に外さなかったし、自分から好きと伝えたこともない。
でも当時のあたしはこんなにひねくれてなどいなかった。
純粋でどこにでもいる普通の女の子。
彼もごく普通の男の子だった。
すごくシャイで
半年も付き合っていたにも関わらず、1回しかキスをしたことがない。
それなのに、いつまで経っても覚えているのは何故だろう。
でも、それからは男に不自由などしていない。
それは、この外見のおかげ。
色の抜けた自然な柔らかい茶色の髪、バッサリとしたまつ毛にふちどられた二重のくっきりした目、スッと通った鼻筋、笑うとエクボと八重歯が見える口、
スタイルも抜群だ。
小さな顔にほっそりとした首、
そして長い手足。
背は160cmだが八頭身は楽々あるだろう。
これを男が放っておくわけがない、と自分でも分かっていた。
でも、毎日繰り返しな人生に少し飽きてもいた。