「何してるのよ」



離れたところから沙耶ちゃんの声がした。





私は深呼吸をすると再び下駄箱のふたに手をかける。




ドサドサー。



大量の手紙が足下に落ちてきた。






何、これ?




まさかこれ全部ラブレター?






1・2・3・・・・・23。


23通もある。





こういうとき、思わず数を数えてしまうのは人間の習性だろうか。






こんなにあったら私のが目立たないよ。



「もう、何してるのよ」




沙耶ちゃんと野乃葉ちゃんが私のところに近付いてくる。






「あちゃー、これ全部ラブレター?」



沙耶ちゃんは足下に散らばった手紙を見て言った。



「ライバルが多いね〜」



野乃葉ちゃんの冷静な一言が炸裂する。





ライバルが多い!!! 


分かってはいたけど言葉にするとずしんとくるものがある。



無謀な挑戦をしているのを実感する私。






「こうなったらこれしかないね」



沙耶ちゃんは鞄から赤と青のペンを取り出して言った。





「目立つようにこれで縁取りをしちゃおう」






こうなってくると懸賞を応募するのと何ら変わりない気がする。






「エアメールでも出すのか?」