暫くすると、向こうの方から『うおぉぉぉ』という声とともにお化けがこちらに向かって走ってくる。





私は思わず固まってしまった。






「さあ、早く逃げないと捕まってしまうよ」




そう言うと草壁君は私の手を握って走り始めた。



私は夢中で草壁君と走る。






ああ、何という展開。




幸せってこういうことを言うんだ。




もうお化けさんに捕まってもいいよ。






私達がお化け屋敷から出ると3人が待っていた。



「随分仲良しになったみたいだね」


沙耶ちゃんの一言で、私は慌てて草壁君から手を放した。





「そろそろお昼だぁ」



沙耶ちゃんが大きく伸びをしながら言う。





「柚衣ちゃんがお弁当作ってきてくれたから〜、みんなで食べよ〜」



野乃葉ちゃんの言葉にみんなが賛成した。




「じゃあ、コインロッカーに荷物を取りに行こうぜ」




琉生はこう言うとコインロッカーに向かって歩き出した。