私は授業中も必死でラブレターを書いた。




草壁君に振られたら私の一生はもう終わり。




しかし、私は影響を受けやすい性格だ。



国語の時間には文章が五七調になり、社会の時間には織田信長が文中に登場し、理科の時間には三角フラスコの説明をしてしまった。



駄目だ。


私って文才がない。





仕方なく「大切なお話がありますので、よろしかったらご連絡ください」とだけ書いてメアドを付けておいた。




これはラブレターと言うよりは連絡メモだよね。





そして放課後。





「ゆ〜い〜、書けた?」



放課後になると沙耶ちゃんと野乃葉ちゃんが私の教室にやってきた。



「書けたよ」


「じゃあ、見せて」


沙耶ちゃんは当然のように手を出してくる。



「ダメ」


「どーして~?」



野乃葉ちゃんまで見たがってる!




「もう、封しちゃったから無理」


と言って私は慌てて封筒にのりを付ける。






「何だ、ここに下書きがあるじゃん」



沙耶ちゃんは私の机の中に手を伸ばしてきた。




「ダメ〜!!! 絶対にダメ」



ここで織田信長や三角フラスコを見せるわけにはいかない。



ガルルルル〜‼︎




私の必死の形相に二人は諦めたようで。



「じゃあ、出しに行こうか」


と、沙耶ちゃんが当然のように提案した。





「出しに行くってポストに? これ住所書いてないよ」


「ポストのようなもの」


「何? それ」


「下駄箱。ラブレターと言えば下駄箱に決まってるじゃないか」




ああ、なるほど。