「友達だけど」



分かり切った返事なのだが、何か近付いたものが遠ざかっていく感じがする。



「私は柚衣ちゃんと付き合ってるの。紛らわしい真似しないでくれる」



ちょっと何言い出すの!




「遥香ちゃん。付き合ってるって・・・」


「あの真剣な愛の告白を私は忘れません」


「愛の告白?」



草壁君はきょとんとした顔で呟く。




「違うの!!! これにはわけが」


「さあ、行きますよ」



遥香ちゃんは私の手を引っ張る。




これが意外と力が強く、みるみる草壁君から離れていった。






草壁君は何が起こったのか分からないという表情でポカンと立ったままだった。



ああ、私の草壁君が遠ざかっていく。