きた。
きたよ、7月。
え、テンション高い?
フフ…だって。

「那葵、7月7日は誕生日だね!」

親友結里が隣で笑う。
いえーす。その通り。

『うんっ』

7月7日…七夕は私の誕生日。
今日、7月3日だけど。
わくわく。
だって、私の誕生日の日はパパもママも早く帰って来て、お祝いしてくれるから。
結里にも祝ってもらえるし。
もう、この世の天国だよ…!
あ~、早く、早くきて、マイバースデー。

「オイ」

あー、悪魔の声が聞こえるよ~。
悪魔っていうか、魔王?
悪魔の声も魔王の声も聞いちゃいけないんだよね。
無視無視。

「聞こえてんだろ、澤田」

「っ、川村先生!」

そう。
魔王、別名川村 秋也先生。
私の天敵。
サターン川村。
結里の片思いの相手。
こっち来るな。ペっペっ。

『なに、川村先生』

「オマエ、部活も委員会も入ってなかったよな」

『あたりまえじゃん』

だるいんだもーん。
で、私に何の用なの。

「ちょっと図書室から本借りて来てくれね?」

『は?やだよ。自分でやってよめんどくさい』

「俺は今日生徒会の用事があるんだよ」

それに坂井も、と付け足す川村先生。
あ、そっか。
川村先生が生徒会の顧問だから結里も生徒会会計になったんだ。

「那葵、私からもお願い。…ねっ?」

ぐぬぬ…。
結里、それは卑怯だよ。
そんな困った顔されたら断れないじゃん。

『わ…わかったよ』

「本当!?ありがとう那葵」

「頼むぞ、澤田。このメモに書いてあるやつ」

川村先生からメモを渡される。
あーあ、OKしちゃったよ。
ま、結里から言われたら断れない。
それに今日、機嫌いいから。
早めに終わらせて帰ろうっと。