彼方、ちょっとびっくりしてるし。
顔がぽかーんってなっててやばい。
ちょっと面白い。

『彼方の手伝いをしたい。どんな些細なことでもいいから』

彼方が困ってるとき、自分だけじゃどうしようもないとき、支えたい。
だって。


『私、彼方の友達だもん』


友達。
だよね?

「那葵ちゃん…ありがとう」

彼方がふわりと笑う。
うん、いつもの笑顔。
いい顔。

『ううん、いいの』

だけど。
ちょっと、ほんのすこーしだけど、その笑顔が一瞬歪んだ。
どうして?

ま、いっか。
フフ。
彼方、これで仲直りだね。
嬉しい。
彼方、だーいすきっ!

ザーザーと雨が降る音が聞こえてくる。いつもはうっとうしいはずなのに、今日は素敵なリズムを刻んでくれてる。





【6月 キミの過去を知るきっかけになった梅雨の季節】