ユーレイ君と、秘密の1年。

彼方、熱心にお菓子のレシピ本見てる。
へ~。そんなに好きなんだ、お菓子。
じゃあ、どんなのが一番好きなんだろう。

『彼方、どのお菓子が一番好き?』

彼方に聞いてみる。
そしたら彼方、目をキラキラさせながらも真剣に、えっと…って選び始めた。
彼方の優しそうな目がキョロキョロ動く。

「あ…」

彼方の目の動きが止まる。

「おれはこれが一番好きかも」

彼方はそう言うと、本に指を落とした。
ん~、どれどれ?
…へ~。

『苺のシフォンケーキ?』

「うん」

彼方、今日最上級の笑顔。
きゅん。
かわいい。ほのぼのするっ。

…おっと。
それはさておき、彼方の好きなお菓子が苺のシフォンケーキだったとは。

『うん、わかる』

すっごいわかる。
フワフワのシフォン生地に甘酸っぱいイチゴの風味。
最高においしいよ、あれ。
私も大好き。

「ほんと?」

『うん。おいしいよね』

「そうだね。…おれ、大好きだなぁ」

ずっきゅん。
彼方、笑顔で大好き、はまずいよ。
かっこよかったよ。
うん。真面目に。
さすが爽やか系イケメン。

何だか、彼方の純粋な瞳から目を逸らしたくて、一週間前まで咲き残った花びらがあった桜の木に目をやる。
もうすっかり葉桜になってて、楽しそうに風に揺れていた。





【5月 キミのことを少し知れた青葉の季節】