雷獣

「お楽しみの所申し訳ないのですが帰りたいので早く駅に案内していただけるなら案内してほしいのですが。」

「あ゙？」
と言われ鋭い視線を向けられるが私も明日終業式にでなきゃいけないんだからと怯むことなく睨み返す。

「短気の朔さんや、そんなに睨むこったないでしょ～よ」
とドウドウとなだめる歩と言われる人。

「初めまして、俺は歩。君は？」

「雪です。今日帰りたいので駅までの道のりを教えていただきたいのですが」
不機嫌そうに言う遥香。

「ケンからも聞いてるだろうけどこの町終電早いのよ、もう終わってるけど？？」
あきれたように言う歩。
その隣でケンもうんうん。と頷いている。

「それなら駅で始発を待つので駅まで案内していただきたいです。」
初めての人の言うことをそのまんま信用する遥香ではないので遥香もなかなか引き下がらない。

「子猫ってか野良猫みたいだな。そんな警戒心むき出しで取って食ったりしねーよ。」
両手を顔の横にして爪を立てるようにしてシャーッと猫の威嚇の真似をする。

「朔さん、めちゃ似てますね!!」
「だろ？お前もやってみろよ」
「はい!!こうっすか？？」

ガラの悪いヤンキー2人が街灯の下でシャーシャー真似をしているのを見て
このくだらない人たちに声をかけたのが間違えだと思って道を歩き出す。

「あれ～？どこ行くのかな～？」

「道を聞く人間違えました。スミマセンでした。」

「わかったって、お前がそんなに信じられないんなら駅まで送ってやるって。
ほら、後ろ乗んな。」