「そうなんです、お礼をさせていただくのでどうか麗楽駅まで案内していただく事は可能でしょうか?」

「え、もう終電終わってるけど??」

え、まだ夕方だよね?
終電終わってるなんてことあるの?嘘つかれてる?
遥香が動揺をしていると何やら勝手にモヒカンは誰かに電話をかけ始めた。

「あ、お疲れ様っす。今へーきっすか?あのですね実は子猫を拾いまして......」

こ、子猫?え、私のこと?
子猫って言い方やばい人認定。
今すぐ離れなきゃ。

そう思った遥香は忍び足でその場を離れようとしたが
「おっと、もう少し待てよ。」
と腕をつかまれ逃げる隙を失った。
その間にもモヒカンは電話相手と話し続けている。

「あの、大丈夫なんで!腕離してもらってもいいですか?」
だがモヒカンには聞こえてないようで
電話が終わったのかにっこりと私に向かって
「もう少しで来てくれるらしいから待っとけよ」と言う。

「いや、お手間をかけさせては申し訳ないのでどこかでタクシー捕まえるんで大丈夫です。」

「この辺タクシーなんてないけど。」
モヒカンの言う通りこの町に降りてから人も車も見かけてないからモヒカンの言う通り
何だろうけど、モヒカンといる方がやばいと本能が言ってるだから逃げたくもなる。

「まぁまぁ、そんな警戒すんなって。俺、健三(けんぞう)って言うんだ。でも嫌いだからケンって呼んでくれ。
健三なんて呼んだらぶっ飛ばす。そっちは?」

(ゆき)です。」