「ありえないんだけど。」
人が多いい時とか全然つながらないとかあるけど
あ、逆に人がいなさ過ぎて電波がないとか?
え、そんなことあるのかな、、、。

「ヘンゼルとグレーテルみたいに歩いてきた道に石でも置いてくればよかった。
方向音痴には現在地が動いてくれないと困るよ......。」

途方に暮れながらとりあえず感できた道を戻ろうと決心する。

やみくもに歩いただけなので途中からさっぱり帰り道が分からなくなる。

ぐぅぅぅううう

携帯の時間を見るともうすぐ17時になろうとしている
朝、叶葉さんが来てくれた時に食べたみかん1個なので
空腹は限界を迎えていた。


「もう無理。電波も繋がらないし、駅全然見つからないし、どこ歩いても飲食店なんてないしもう帰りたい。」

空腹と歩き疲れたのといろいろの感情が交差して道端にぺたりと座り込んだ。
冬の17時なので辺りはすっかり暗くなってところどころ電球がついているが
人の気配がしないのでもうここは日本じゃないんじゃないか
どこか変な世界にワープしてしまったんじゃないかと思って泣きそうになったその時。

小さく、耳を澄まさないと聞こえないけどバイクの音が遠くから聞こえる。

今まで私の声しか聞こえなかった街に聞きなれたバイクの音が聞こえてくるのは
遥香にとって希望だった。