「--さん！お客さん終点ですよ！」
その声にハッとして目を覚ます。

「お客さん何度声かけても起きないから具合悪いのかと思いましたよ。大丈夫ですか？」
困り顔の駅員さんと目が合う。

「ご迷惑おかけしてすみません、大丈夫です。」
心配をしてくれている駅員さんに揺れが心地よくて熟睡してましたなんて恥ずかしくて言えるわけがない。

ホームに降り立ち周りを見ると私しか人はいない。
とりあえず改札を出るが人もいないし車もない。
「適当に歩いてみるか」

そう思いとりあえずまっすぐ歩きだす。

何分歩いただろうか。
人が本当に住んでいるの？って思うぐらい静かすぎる街。

まるで私だけしかいないような異様な感じ。

出来心で道路の真ん中を歩いてみる。
ドキドキしながら歩く。
誰もいないと思うが後ろを気にしたり左右を気にしたりしてきょどきょどと歩く。

でも数分も歩くと飽きる。
いくら歩いても代わり映えのしない街並みに飽きて駅に戻ろうと携帯を出して地図を確認しようとすると
「え、全然反応してくれないんだけど」

圏外では無いのにずっとぐるぐるしている地図