パタン。
襖が締まり座っている後ろを見ると立派な庭園が広がっていた。

六角雪見灯籠(ろっかくゆきみとうろう)やししおどしを際立てるように葉が植えられており
そして大きな木が植えてある。
心が和む。

見とれていたら襖があき洸希お盆に湯呑と急須を乗せて戻ってきた。

「綺麗だね庭園」

「そうだなお前のセンスってやっぱすごいよ、さすが小さい頃からマナーとか叩き込まれているだけあって感性も凄いわ」

「え?なんて?」

「ここの庭園はお前が手掛けてるって言ってもいいもんだ、草木も庭師もお前が自分で探して契約結んだんだから。
ここは元々殺風景な何もないただの外廊下みたいなもんだったんだよ。
だけどここに初めて来たときこんな古風で素敵な建物なのに勿体ないって遥香が言ってさっきの季代さんに相談を持ち掛けたんだよ。
でもたかが高校生が提案した所で受け入れてくれないは目に見えてたから準備して訪問したんだ。
庭園を造る費用、庭師を雇って剪定してもらう維持費、植木の費用
責任もって請け負うからどうか庭園を造らせてほしいってね。」

「なんでそんなこと。」

「俺だって、拓哉さんでさえ何でこんなに必死に提案してるのか分からなかったけど遥香が生き生きしてたから
皆何も言わず手伝えることは手伝ってこの庭園ができたんだ。
月に1回ここには必ず来ててね季代さんとの約束でね。」

「約束?」

「そう、庭園作って、庭師雇って維持するだけなんて許さないってね。そんな自己満なんかじゃうちの庭は貸せないってね。
だから毎月の庭師の費用とか振込じゃなくて手渡しで渡してくださいそれで自慢の料理を食べてってくださいってね。」

「そうなんだ。って待って、私が眠ってた間渡せてないんじゃ!」

「それはきっと拓哉さんが渡してると思うよ。」

「拓哉が?」

「うん、拓哉さんもてか俺達全員ここの料理の虜になったから嫌々じゃないよ」