「は~い、いらっしゃいませ」
中に入ると左右に廊下が開けておりどうやら靴をぬいで上がるスタイルのお店のようだ

「あら、久しぶりですね。しばらく顔を見せないから寂しかったのよ遥香ちゃん」
私に声をかけてくれたのは藤色の着物を着た70代くらいのおばあちゃんだった。

季代(きよ)さん、久しぶり」

「今日は洸希君だけなのね、さぁさぁおあがり」
そういい左手の一番手前の個室に通してくれた。

「今日は何を召し上がるのですか?」

「今日は来るまで悩んでたけど決まってないから決めたら言いに行きますね」

「はいはい、分かりました」
ごゆっくり。そういい襖を閉め季代さんは出て行った。

「ねぇ、見るからにいいとこの和食屋さん何だけど大丈夫なの?」

「まぁ色々あってかなり値引きしてくれんだよ」

「そうなの?」

「まぁそれはおいおい話すからとりあえず食べるもの決めようぜ」
そう洸希に言われメニューを見るがとても一般の高校生が気軽に頼める金額じゃないものばかりだった。


「ねぇ洸希さん、値段えげつないんだけど。」

「俺はもう慣れたよ、ほら早く決めろ~。」
洸希にせかされメニューを開いた一番目の"極上天丼"を頼んだ。

「んじゃ、頼んでくるから待ってろよ。」

襖をあけて出ていく洸希