「とりあえず温かいものでも飲もう、はい遥香」
そう言われて渡されたのは紅茶だった。茶葉のいい香りがして少し気持ちが和らぐ。

みんな夏惟からの飲み物を受け取り各自座る。

「遥香が病院で目覚めたとき、自分が何で入院してるか知ってるか俺たちに聞いたよね?」
拓哉が話し始める

「うん、でも知らないんでしょ?駆けつけてくれたんだから」

「知らないんじゃない、話さなかったんだ。」

「え.....どういう事?知ってたのに話さなかったの?私が不安だったのに?」

「起きてすぐ、それに記憶のないはるに言えなかった。はるが、はるが崖から落ちたなんて。」
手を握りしめ額につき下を向きながら話す拓哉。

「崖?落ちた?どういう事?分かるように説明してよ。」


「遥香が、崖から落ちだんだ。自分の意志で。」
そう話すのは岳人。

「私が自分の意志で落ちた?」


「正直今でも俺は分からない、お前が何であそこから落ちたのか、あの場所に連れていけって言ったのは最初からそれが目的だったのかも分からない。」

「あの場所って?」

「夜空が綺麗な場所があるんだ、遥香はそこが好きでよくみんなで行ったよ」
悲しそうな目で私を見る風翔。

これだけ話されてもさっぱり分からない。

「ごめん、何一つ思い出せない。」

その声に反応したのは拓哉だった
「遥香の中で記憶が曖昧なのに混乱させるようなこと言ってごめんね。」

「私こそ自分から話してってお願いしたのにこんな空気にしてごめん。」