「何だ、口だけ?てかそれ本気?」
バッと手を放す中村。

「うっせ、これからだよ‼」
今度は足元を狙っての足蹴りが繰り出されるががたやすく躱される。
その後何度殴ろうとしてもフードの男は軽やかに躱していく。

その様子はバイクの傍で成り行きを見ていた遥香が綺麗と思うほど。

「っっつ.......なんで当たんねーんだよ‼」

反撃もされずただ躱されるばかりの中村は苛立ちと焦りが見え始めていた。

「そろそろ時間がないからおしまいにするね。」
そう言いフード男が中村のパンチを交わして懐に入り強烈な一撃を入れる。
一撃に耐えられずその場にうずくまる中村。
「ガハッ.........ゴホゴホッ。」

今の一撃でもう立ち上がる力はないようだ。

「喧嘩で一番は焦りが禁物。冷静な判断、タイミングが計れなくなるからね。」
そう中村に吐き捨て遥香に近づいてくるフード男。

コツコツコツコツ。
遥香の傍まで着てそっとしゃがみ遥香と目線を合わせる男

「大丈夫?なにもされてない?」

「あっ.......はい。」
思わず返事をする。

「ならよかった。拓哉がブチギレて手に負えなくなるのは夏惟が一番大変だからね。」


「え?拓哉や夏惟を知ってるんですか??」