ティロン。
携帯を見ると洸希からだった。

”家の駐車場に着いた、まだ時間かかりそうなら連絡して。”

”いま家出た。下に降りる。”
そう返してポッケにしまう。

叶葉さん.....どんな人だったっけな。
てか、私が記憶ないの知ってるのかな?失礼にならないかな?
そんなこと思いながら駐車場に向かう。

駐車場に着くといつもとは違う車だった。
運転席の窓をコンコンと叩く。

「おう、はよ。」

「おはよう。」

「遥香ちゃん、おはよ!」
運転席の間から顔を出したのは頼れるお姉さんって感じの人だった。

「お、おはようございます。」

「さ、乗って乗って!」

「なんでお前が言うんだよ」

「洸希が言おうがあたしが言おうが変わらないでしょ?」
そう言いながら後ろのドアを開けてくれる叶葉さん
私が乗り込むと

「んじゃ、出発ー!」

叶葉さんの声の後、車が動き出す。

「遥香ちゃん、久しぶりね!」

「お、お久しぶりです。って言っても私あんまり叶葉さんの事思い出せてなくて最後いつ会ったのか覚えてなんです。......」

「いいの、いいの。私が覚えてるから。」
ね?と首をかしげながら私にそう言ってくれる叶葉さんに少し心が救われた。

「最後会ったのはねぇ、多分遥香ちゃんが買った車で店に来てくれた時かな?」

「え、その話叶葉さんも知ってるんですか.....。」

「うん、洸希が嬉しそうに”俺、これから毎日ベンツ運転できるんだぜ”ってドヤりながら話に来たからね」