駅前にぞろぞろと集まる不良集団。
道行く人が怪訝そうに見る。

「おー、これで全部か?んじゃ行くか。」
そういい歩きだす洸希に続く下っ端君たち。
黒髪で一見暴走族に入ってなさそうな洸希がカラフル頭の不良たちを連れて歩く光景は異様だった。

「ここだ。」
そう見上げた銭湯屋には”桜湯”と書かれていた。

中に入るとそれは内装も可愛い銭湯だった。

「洸希さん、ほんとにココっか?」
疑いの目で見る剛。

「あぁ、おい叶葉(かのは)いるか?」
する奥から入ってきていいぞーと声が聞こえた。

”男”と書いてあるのれんをくぐると
床にレジャーシートを引いている女の人がいた。

「おぉ、準備いいじゃないか」

「うっせ、染め剤落ちにくいから床汚される前に準備してんの。それとも汚れてたら弁償してくれんの?洸希」

そうこっちを見た女の人は金髪でつり目の顔をしてピンクのネイルをしていた。

「んで、このカラフルボーイズが可愛い後輩???」

「あぁ、一人の大切な人にためにわざわざ全員で黒くすんだとよ」

「ふーん、そんな顔して可愛いとこあんじゃんか」

「あのー、ほんとにいいっすか?」
剛が再度聞く。

「あぁ、最後綺麗に掃除してくれんでしょ?営業まで時間はあるしかまわないよ。」

「え?掃除??」
横にいる洸希さんを見るとにやにや笑っている。

「そりゃお前、借り切りにしてもらって掃除もしないで帰るなんて思ってなかったよな??」

”嵌められた”そこにいる全員がそう思った。