ガチャ。コンコンコンコン。
拓哉が静かに階段を下りる。

下に降りるとバイクを弄っていたり、ゲームとかしてるやつらが手を止めて俺に聞いてくる。

「拓哉さん、どうかしましたか?」

「とりあえずここにいるメンバーだけに伝える、居ないやつはあとで俺から連絡しておく。察していると思うが遥香の事だ。」

みんな手をとめて拓哉の話をじっと聞いている。

「学校に槇口が現れて遥香とは直接話してないんだが、ある言葉がきっかけで多分一番嫌な記憶を思い出したと思う.....。パニックを起こして目が覚めた時にここの方がいいと思って連れてきた。

遥香が目覚めたらもう、ごまかすことなく遥香が知りたいことを話そうと思う。
雷獣について聞かれても...。

......遥香が目覚めてから俺達、雷獣の事については話さなかった。
”サークル”と言ってごまかして俺達と仲がいいって事にしていた。

俺達といる時にあんなことが起きたから思い出せば離れていく、また同じ事が起きるんじゃないかって思って。

遥香が目を覚ましてどうなるか分からないが、”雷獣のメンバー”としてじゃなくても俺の大事な仲間ってお前たちを遥香に紹介できないかもしれない。すまない。」

拓哉がみんなに頭を下げる。
どよめきが広がる。

「総長‼頭なんて下げないだください‼‼」
そうっすよ!あちこちから聞こえる。

「俺達言いましたよね、総長の判断に任せるって。確かに話ができないまま遥香さんとお別れはすこし寂しいっすけど。でも一番悔しい思いしてるのって総長達っすよね?全部の判断を総長に任せた俺等っす二言はないっすよ!」

剛がニカッと笑いながら言う。

他のみんなも頷く。

「お前ら....、ありがとう。」