「好きです。」


突然君の口から出た言葉。

1つ下の君。

同じ陸上部の足が速くて、人懐っこくて、弟みたいだった。


あれは暑い夏の日。

君が中学1年生の時。




あれから1年がたった。

告白されて、「ありがとう」とは言った。

けど、それ以上君にはなにも言われなかった。

それから、関係も壊れることなく、先輩と後輩。

君が今誰を好きなのかもわからない。






あたしは、恋塚日向。

こいづかひなたって読むの。

中学3年生。

今日は夏休みの練習の初日。

いつものように、先生の話を聞いて今日は終わり。

いやー、今日も頑張った!

楽しいねぇ、陸上は。


今週末には県大会も控えている。

部活も少しピリピリモード。

あと3日だし、頑張るぞー!


そんな時、

「先輩、ちょっといいっすか。」

「んー?はーい!」

去年告白してくれた男の子、斎藤琢磨。

こいつ、足速いんだよねぇ。







んー。

なんだろー。

そういえばもう1年がたったんだなー。

あんま琢磨を意識したりしなかったな。

あの頃は好きな人もいたから。


てか、これからどこ行くの?

琢磨は、後輩の癖に黙ってついて来いと、

先輩なのに黙ってついていく、あたし。

へんなの笑




ついに立ち止まってこっちを見た。

「先輩、一度しか言わないんでよく聞いてください。」

「え?」

「俺、あの時から全く気持ち変わってません。先輩の事が今でも好きです。」

「え?え?」

「一度しか言わないっていいましたよ。」

「そうだけど、」