あたしと夕日先輩が付き合い始めて早1週間が経った。夕日先輩の彼女になればそれなりのなにかがあることを覚悟していたけど、意外とそういったことはなかった。

 夕日先輩はみんなにとっては、彼氏にしたいとかじゃなくてアイドルのような感じだったみたい。もちろん本気で好きだった人はいるとは思うけどね。

 付き合い始めた次の日には、綾乃にちゃんと報告した。そうすればもちろん勇輝にも伝わる。あの日からあたしは勇輝と必要最低限の会話しかしなくなった。


 「おはよう凛ちゃん」

 「おはようございます先輩!」

 朝、夕日先輩と待ち合わせして学校に行く毎日。

 「凛ちゃん帰ろう」

 「はい!」

 放課後は、生徒会の手伝いがある時は一緒に帰り、それ以外でも先輩が用事がないときは一緒に帰った。

 でも、まだあたしの中でぽっかりと空いた穴は塞がらなかった。





 ―――――――お昼の教室

 「凛ちゃん、夕日先輩と毎朝一緒に学校に来てるんだね」

 「そうだよ?」

 「勇輝君は?」

 「え?」

 「勇輝君はいいの?」

 なんで綾乃までそんな悲しい顔するの?

 「実はあたしね、1週間前に綾乃が勇輝に抱きついてるところ見かけちゃって。おめんね、あたし鈍感だから2人がそういう關係だったって気付かなかったよ」

 「ち・・・よ」

 「え?」