いや、勇輝は成績いいから馬鹿ではないんだけどな。

 「まぁ、いーか。これからだよな」

 「そうそう!これからこれからっ♪」

 そう言ってあたしは勇輝の背中をビシッと叩く。

 すると勇輝は再びため息をついた。

 「あのなぁ、俺の好きな奴は一言で言うと鈍い。その上馬鹿だ」

 「勇輝、さすがのあたしでも好きな子をそんな風に言っちゃいけないのは分かる」

 流石に馬鹿は酷い。

 「鈍いはいいとして馬鹿って、その子どんな子よほんと」

 「そいつはなぁ、どんなにあからさまに好きだって言われても気づかない奴なんだよ」

 「あーそれは鈍感通り越して馬鹿だわー・・・・」

 そんなアニメみたいな話実在するんだな。

 「ってことは勇輝その子に好きって言ったことあるってこと?」

 「・・・俺はねぇよ」

 勇輝はぼそっと言った。

 「勇輝じゃないなら他の男子ってことだよね?」

 「そうだけど」

 「もしかして、その男子積極的な方だったりする?」

 「まぁ、確かにあいつはかなり積極的だな」

 「それなら勇輝負けちゃうよ?女の子は積極的な男子に知らない間に惹かれちゃうってこともあるし。まぁ、今のままの勇輝なら負けて当然だね!」

 あたしがそう言うと今までに見たことがないくらいあからさまに勇輝は落ち込んでいた。

 「いや、でもね!ほら、今から頑張ればいいじゃん!」

 さすがのあたしでもこんなに落ち込まれたら気にするよ。

 「・・・少なくともお前は積極的なやつには惹かれるってことか?」

 「え、あたし?あたしは・・・どうだろう?」

 今まで恋と無縁だったからよく分からないなんて言ったらきっと馬鹿にするんだろうな。