あたしの意地悪な弟

 綾乃はあたしと勇輝になにを求めているの。

 「そうだとしても、勇輝とあたしがそんな関係になるなんて考えたこともないよ」

 あたしは鼻で笑いながら言った。

 「だったら、少し考えてみてよ凛ちゃん」

 「へ?」

 綾乃の言葉にあたしは間抜けな声が出てしまった。

 「勇輝君を兄弟じゃなくて1人の男の子として見てみたらどうかな?」

 「いやいやいやいや、何を言っているのかな綾乃さん!?」

 綾乃の提案にあたしは動揺した。

 「だって、勇輝君かっこいいし、背も高くて、スポーツもできるし、成績もそこそこいいよ?こんなに完璧な男の子がこんなに身近にいるのに勿体無いよ」

 「いや、そういうことじゃなくて!それに、あたしが例えそう思ったとしても勇輝の方があたしをそう思うようになるなんて絶対ないと思うよ!」

 あんなに意地悪なこと言うんだもんそんなことないでしょ。

 あたしの言葉に対し綾乃は笑みを浮かべる。

 「そうかな?」

 「え?」

 「凛ちゃんは本当にそう思う?」

 それはどういう意味?

 あたしは綾乃の質問の意図がよく分からないでいた。

 「だって、綾乃もいつも見てるじゃん、勇輝のあたしに対する態度」

 そうだよ、綾乃はいつも見ているはずなのになんでそんな質問するの?

 「だよね・・・そう思うよね・・・」

 綾乃は少し呆れたような顔をする。

 こんな顔をする綾乃をあたしは初めて見た気がする。

 「綾乃?」

 「なんでもないよ、気にしないで!まぁ、今の話は忘れていいからね凛ちゃん!」

 「う、うん?」

 あたしは結局、綾乃の話の意図が分からなかった。