「勇輝なんかもう知らない!」

 そう言ってあたしは繋いでいた手を振り払い、勇輝を置いて先に家に帰った。





 あたしは帰宅後すぐにシャワーを浴びることにした。まるで、煩悩を払うかのように。

 シャワーを浴びながらさっき勇輝の言ったことを思い出す。

 「なんか悪いもんでも食ったか?って、ほんとなんなのあいつは!!」

 なんで勇輝はいつも意地悪なことしか言えないの!?

 「はぁ・・・」

 イライラでため息がでる。

 今日は待っててくれたから許してあげよう。

 そう思い、あたしはお風呂場のドアに手をかけ開けた。でも、それと同時に脱衣所のドアも開き、目の前に勇輝が現れた。

 「「え?」」

 あたしは一瞬何が起きたか分からず呆然と立ち尽くす。

 勇輝も同じように立ち尽くしている。

 しかし、あたしの頭は急にフル回転し、今の状況を把握した。

 「いやぁーーーーーーーーーーー!!!!!」

 あたしの悲鳴と同時に勇輝の顔が赤く染まっていく。

 あたしは必死でタオルで身体を隠す。

 「凛わりぃ!!」

 そう言って勇輝は後ろを向く。

 「見たでしょ」

 あたしは勇輝の背中を睨みつけた。

 「見てしまいました・・・・すみません」

 勇輝は急に敬語になる。

 「いいから早く出て行ってよ。着替えられないじゃん」

 そんな勇輝にあたしは冷たく言う。

 「はい!すみません!」

 そして、勇輝は素早く脱衣所を出てドアを閉めた。

 「・・・・・」