あたしがそう言うと先輩はクスッと笑った。

 「だってよ、弟さん。良かったね」

 先輩は爽やかな笑顔で言った。

 「夕日先輩、俺をからかわないでください」

 「あれ?俺の名前知ってるんだね?」

 「当たり前です。この学校の生徒会長なんですから」

 「知ってくれているなんて嬉しいな」

 なんかこの2人の会話に刺があるのは気のせいかな?

 「とにかく、あとは俺がいるんで大丈夫です。さようなら先輩」

 そう言って勇輝はあたしの手をとり、歩き始める。

 「ばいばい凛ちゃん、弟さん」

 先輩は笑顔であたし達に手を振っている。

 「勇輝どうしたの?憧れの夕日先輩だよ?」

 あたしの手を握る勇輝の手に力がこもった。

 「なんかあの人イメージと違う」

 「え?」

 どういうこと?

 「凜、夕日先輩には気をつけろよ」

 ?

 「んーよく分からないけど、分かった気をつける」

 「お前ほんと心配だよ」

 「そう?」

 あたしはむしろ勇輝の方が心配なんだけど。

 「自覚ないやつってこわいな」

 「何か言った?」

 「なんでもねぇよ」

 「そういえば、勇輝あたしのこと待っててくれたんだね、ありがとう」

 ちょっと嬉しかった。

 「!?」

 勇輝は目を丸くしこちらを見て歩みを止めた。

 「お前急に素直だな。なんか悪いもんでも食ったか?」

 あたしが珍しく素直にお礼を言ってるのに!!