父には許してもらえないまま、入居の日になった。
日曜だったから、私は仕事が休めず、終わって駆けつけた時にはもう荷物も入り、引っ越しの作業もほとんど終わっていた。
「ごめんね。何にも手伝えなくて」
「アパートから少しの荷物運んだだけたし、大丈夫」
私が自分の店から買ってきたお寿司を広げた。二人で食べて、それから初めて二人でお風呂に入った。
すごく恥ずかしくて、でもすごく嬉しかった。
帰りたくない。一緒に住みたい。でも、私はまだ家を出ることが出来なかったんだ。このまま家出してハルと一緒に住んでしまったら、父に結婚は絶対に許してもらえないと思って。
「あゆが20歳になるまで待ってるから」
父が言った。20歳になるまで許さないと。だからハルもそう言ってくれたんだ。


