環はパタリと
箱を閉じ

それを戻してくると
僕の隣に座った

そっと顔の
向きを変えられる

僕の左頬だ

「痛っ」

「ごっごめん」

そっと触っている
つもりなんだろうが

かなり痛い

本気で殴られたな、これは

スッと手が
そのまま腰へ降りる

抱きつかれた

「ごめんなさい
私があのゴミどもに
トドメをささ
なかったせいで…」

トドメ?何を言ってるんだ

「いいわよね
今からでも遅くない
雅輝の顔をこんな風
にしたんだから
これ以上の苦しみを
与えてやらなきゃ」

「なにを言ってるんだ
もういいんだよ
環が無事なら」