「香奈……?大丈夫?顔色良くないよ」
「一美ちゃ…ん。大丈夫だよ。それよりさっきの放送って…ノイズがうるさくて何が終わるのか聞き取れなかったんだけど…何か聞き取れた?」
 彼女は杉ノ原一美。私の数少ない友達。
 一美ちゃんは、難しそうな顔をした。
「ごめん。何にも聞き取れなかったよ」
「そっか……ありがとぅ」
 そう言って、私はすぐ自分の席についた。
 明日、もし地球が崩壊したとするならば、皆は最期の1日をどう過ごすのだろうか。
 明日、もし大切な人が死んでしまったとしたら、残された人は、何を思って生きていくのだろうか。
 私にとって大切な人。
 彼氏の見目翔汰や一美ちゃん。それなりに長い付き合いの堺友花や、斎藤和樹の四人くらいしか私にはいないだろう。
 その四人は、私が死んだとしたら泣いてくれるのだろうか。
 分からない。分かれない。分かりたくないのかもしれない。
 こんな私が死んだところで何万人、何億人の人は知らないし、何も変わらないのだろう。それでも何も憎まないというのならそんな嬉しいことはない。
 誰もが笑っていられる、そんな世界があったらいいのに。
 目の前で大切な人を失ったらその人はどんな気持ちだろうか。失ってみないと分からない。