(side翔貴)

バンッ!!!!

俺は、力強く教室の扉を開け放ち、あっけに取られる生徒たちの顔を見回す。
その中には、圭斗も、朋花も、麻耶も、そして、瑠璃子もいる。

さっきの扉の開ける音で、もう全て吹き飛ばすんだ。
ウソコイに頼りきっていた自分も、なにも出来なかった自分も。

「俺は!!!!!
ただ、1人を責めてほしくなかった!!!!
瑠璃子が大事で、
瑠璃子に惹かれている俺も居た!!!!!
でも、それはただの我が儘で!!!
…愛なんて言えないもので…っ

俺が見ていたのは、
瑠璃子の見た目とか立場とかだけだった。
吉森瑠璃子自身を見てやれてなかった。
…悪かった。
散々、振り回して。」

顔中を涙でぐしゃぐしゃにして、
ふるふると首を振る瑠璃子。
それは、俺がこれまで見ていた彼女ではなかった。
もっと、綺麗な彼女だった。

「そして….麻耶。」

俯いた1人の女子の肩が、ピクリと跳ねた。