その頃俺は、ある女の子のことが好きだった。ふわふわの髪をして、いつもニコニコしてるおとなしい女の子が。

その子は志織ちゃんって名前だった。

俺らと志織ちゃんが関わることはなかったけれど、
俺は志織ちゃんの遠慮がちな笑顔が好きだった。

けど、志織ちゃんが、
悠弥の視線の先にもいることに、
俺は気付いていたんだ。