「あ、紗江! あっちに立って!」
凱斗が指差したのは壁
わざわざなんで?
「え? ここ?」
何がしたいのかな?
「こっち向いて目、つぶってて」
「え? あ、うん?」
何かサプライズかな?
なんだろー?
とか考えていると、急に唇に感覚がした。
目を開けると凱斗の顔がアップであった。
い、今……き、キス?
「え!? あ、の…え?」
凱斗は壁をドンと私の顔の横にやった。
私、今顔真っ赤だ…
自分でもわかるくらい熱い
「お前が可愛いから」
か、かわいい!?
「ちょ、え? あ、か、かわいい!?」
待って、思考が間に合わないですー!
なに、今どうなってるの?
え? なに? わかんない!?
「俺、紗江の事が好きだ」
「え? 好き? 何? 冗談でしょ?」
凱斗好きな人いるんだし
「本当に俺は紗江が好きだ」
「待って! 今、頭の中ぐるぐるでわかんないから一旦離れて! ね?」
ドキドキしすぎて考えられないし!
「嫌だ」
な、なんていじわるな奴!
そこがまた好きなんだけどね!
「答えてくれるまで離れない」
「わ、わかったよ! 一回しか言わないからね?」
「おう」

