帰り道。

「――お、重い…」

すっかり酔い潰れてしまった谷木を背負いながら、玲奈は呟いた。

「だから飲み過ぎないでくださいって言ったじゃないですか」

歩きながら、玲奈は谷木に声をかけた。

「――んー…」

玲奈の背中で、谷木はすっかり眠っていた。

長身で自分よりも体重のある谷木を背負って歩くのも一苦労なのに、酒の強い香りがプラスされるとかなりキツイ状態だ。

翌日にこっちが二日酔いになりそうだ。

笙に頼んで液キャベでも用意してもらおうかと思いながら歩いていたら、
「あ、家だ…」
と、谷木が呟いた。

玲奈は立ち止まると、目の前の建物を見あげた。

10階くらいはありそうな大きなマンションだった。